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SDGs・サステナビリティ通信 【 その場しのぎの策 】

みなさま、冬の到来を肌で感じる日々を如何お過ごしでしょうか。
朝夕には暖房をつける方もおられるのではないでしょうか。この秋、日本ではアメリカに先んじて女性宰相が誕生し、華やかな外交デビューを果たすことができしました。82%という高い内閣支持率は、今後の期待の大きさを現しています。
そんな中、山間部のみならず、市街地でも野生のクマが出没し(秋田県や山形県では昨年比約3倍の出没件数)、人身被害も多発しています。安心して山菜採りや買い物に行けない方、農作物の被害に遭われた方、生活に不安を感じておられる方々には、心よりお見舞いを申し上げます。
人間の生活圏に侵入するクマを「緊急銃猟」で駆除できるのは、猟銃を所持するハンターたちです。クマは頭蓋骨が頑丈で、警察官が携行する拳銃では仕留められないとのこと。後方支援とはいえ、自衛隊まで出動する事態は極めて深刻ですが、その背景にはどんな事情があるのでしょうか。
●不均衡なクマの分布
クマと私たちの関係は、各地で様々です。九州では既に野生のクマは絶滅し、現存するのは熊本県のマスコット「くまモン」と動物園の陳列個体のみ。四国でも僅かな個体数を残して絶滅が危惧されています。一方、島根県や京都府、東北の各県では、農村人口の減少等により、クマが里山などの緩衝地帯を超え、生活圏に侵入し始めています。
狩猟の衰退も一因ですが、それよりも気温上昇や豪雨に加え、野生の鹿やキョンが繁殖し続け、クマの餌となる森林資源の奪い合いが起きていることなど、生態系が歪んできたことが最大要因と指摘されます。緊急銃猟は対症療法に過ぎず、こうした事態を根本的に解消することにはなりません。
●「その場しのぎ」の策と、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」私たち
目前の問題を、「その場しのぎ」の策で抑えた後は、根本原因の解消に取り組まなければ、私たちの暮らしは持続的に良くはなりません。しかしながら私たちは、職場でも、政治でも、目先の苦痛が一旦和げば安心してしまい、それ以上の労苦や負担を伴う、抜本的な解決策には着手しないことが多いのではないでしょうか。
長く続いたデフレから脱却した途端、今度は歯止めの利かないインフレがおき、生活必需品が値上がりを続けています。
その主な原因は、行き過ぎた金融緩和と低金利、その結果生じた円安ドル高、それによる輸入資材やエネルギー、食品などの高騰、、、という具合に、全ては連鎖しています。低金利で投資を促しても、企業は増収分を内部留保や自社株買いに充て、国内の投資は依然低迷したままです。これでは技術イノベーションは起きません。要は政策と企業戦略がシンクロナイズしておらず、日本の国際競争力を高める方向には向かっていないということになります。
自民党は「政治と金」という政治不信の根本原因に向き合わず、物価高対策として「一時給付金」を支給しようとしました。しかし参議院選挙でその浅薄さを見抜かれ、大きく議席を減らしました。それでも「電気・ガス代支援」、「お米券配布」など、一時しのぎの策ばかりを掲げています。こうした対症療法は、今の苦しみを一瞬に和らげる効果はあっても、それ自体が新たな価値を創造したり、産業競争力を生むわけではなく、持続可能な成長には結びつきません。
●迷走するアメリカと混迷を深める国際社会
第二次トランプ政権発足以来、米国の入国審査は厳格になり、不法滞在の疑いで身柄を拘束され、生活不安による治安の悪化、高関税によるインフレ進行など、米国社会は益々迷走しています。自由の国・アメリカのイメージは劣化し、今年の観光収入は前年比で約1.8兆円もの減少が見込まれています。アメリカは世界中から俊英を集めて成長してきましたが、高度外国人材の就労ビザに1480万円もの手数料を課す大統領令が発令され、渡米を希望する研究者は減り、欧州やアジア諸国への頭脳流出が静かに進行しています。 WTOのルールを無視した一方的な関税措置は、一時的には関税収入をもたらし、国内への投資を招き入れることは出来るでしょう。しかし、製造業を根付かせ、国際競争力を高めなければ、所詮は「一時しのぎの政治ショー」で終わってしまいます。 アメリカ人の平均賃金はメキシコの約4倍であり、関税により国際サプライチェーンから切り離された状況では、世界中から良質で安価な資材や部品を調達し、生産を拡大・維持することは容易ではありません。「政治的幻想」に気付いた人々は、11月5日のニューヨーク市長選、ニュージャージー州知事選、バージニア州知事選などで自らの意思を示し、共和党の候補者たちを次々に敗走させたのです。
●持続可能な成長に向けた社会
日本経済は止まらぬインフレで節約・貯蓄志向が強まり、GDPで見た実質個人消費は299兆円とコロナ前の水準にすら戻っていません。成長に向けた投資や技術イノベーションが見られぬまま、経済が停滞すれば、一時的な「給付金」で可処分所得が一瞬増えても、継続的に経済成長エネルギーを生まないのは明白です。事実、世帯当たりの消費支出は月32万円で10年前の31万円からわずか1万円しか伸びておらず、増加分の殆どは貯蓄に回る有様です。
対処療法から構造変革へ繋げるには、長期投資を促し、既得権益者のロビイングに屈することなく、革新的な技術開発に人材と資金を注ぎ込む必要があります。何でも行政に依存せずに、社会に必要な場所に民間のお金や人材を回す仕組みも重要になってきます。
●サステナビリティが政策の中心に据えられる社会
サステナビリティ経営の本質は、社会の課題を直視し、事業を通じてその解決に貢献することにあります。官民一体となって課題解決を先送りしないと覚悟を決め、新たなビジネスチャンスを見い出すことで持続可能な成長へと社会構造を変容することが出来ます。「言うは易く、行うは難し」ですが、そこでは今までお付き合いしてきた関係会社や顧客とは違った新たな出会いがあり、競争よりも共創、対立よりも対話が生まれます。
サステナビリティ経営で、事業の公益性を高め、新しいパートナーや顧客を生み出すチャンスを掴もうではありませんか。
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