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SDGs・サステナビリティ通信 【 混迷の年・昭和百年 】

年末年始は比較的、大型連休を組みやすく、ゆっくりと静養された方も多かったのではないでしょうか。
皆様にとりまして新年が健やかで実り多い1年になりますよう、弊会職員一同、こころより祈念しております。
●匍匐前進の2024年
昨年は元旦の能登半島大震災や衝撃的な航空機事故で幕が明け、胸騒ぎのする、不安を抱きながらの1年でした。世界でも大きな変化が続き、先行きの不安を助長しました。
中国のゼロ・コロナ政策で冷え込んだ経済は不動産バブルの崩壊により停滞したまま、台湾海峡の緊張は続き、米中摩擦は世界を巻き込んで大きな経済戦争に発展する兆しすら見せています。ロシアのウクライナ侵略は北欧諸国のNATO加盟という皮肉な結果を招き、ハマスによるテロ攻撃は、イスラエルの強烈な反撃を呼び込んで4万人以上のガザ市民が命を落としました。パレスチナを支援するイスラム教シーア派各国にも戦禍が広がり、中東情勢は予断を許しません。多くの国で国政選挙が実施されましたが、右派政党や保守派が勢力を伸ばし、国内問題優先で、国際問題の解決に熱意を失う国が増えそうな情勢です。
このように世界の政治・経済が暗い方向に傾くとき、若く傑出したリーダーが、時代の要請に応えるように誕生したことも幾度となくありましたが、海外ニュースに目を凝らしてもそういう、未だそうしたニュースは見当たりません。
「悪がはびこる最大の原因は、善人が無関心を装うことである」という名言があります(Edman Burk氏・18世紀のアイルランドの哲学者)。アメリカの黒人解放を訴えたキング牧師が、幾度となく用いたこの言葉は、今でも当てはまる「真理」ではないでしょうか。 私たち「主権者」が関与を拒み、歴史の流れを傍観するだけでは、大衆を欺くことに長けた為政者に支配されかねず、これが2025年の最大の危機になると感じます。
●勢いを増すサステナビリティの動き
第2次トランプ政権は、世界規模課題には背を向け、「アメリカ人によるアメリカの為だけの政策」に徹するようです。
企業経営者に求められる「ESG経営」に対し、リベラル派の価値の押し付けと批判するトランプ氏ですが、サステナビリティの大きな潮流に抗うことは、結果的にアメリカの国益を損なうことになると思います。
省エネと並行して推進する自然エネルギーの地産地消は、蓄エネ技術の多様化により、革新的な技術を生み出しています。今まではエネルギーと言えば化石燃料を燃やすことに外ならず、これを熱源にしたり、内燃機関で車や船舶・飛行機を動かし、発電タービンの動力としてきました。
しかしこれからは様々な自然エネルギーによって直接発電し、電力を供給するという大変革が起きます。燃料費ゼロの再エネ電力を起点に、暖房や給湯に熱を供給する時代になるのです。もはや一部の産油国で化石燃料を採掘し、数千キロも運搬し、CO2を排出しながら燃やさなくても、エネルギーの地産地消が可能になる転換期に私たちはいるのです。
産油国もこの大変革に応じ、自然エネルギー関連の事業に投資を始めています。豊富なオイルダラーを使って自然エネルギーの時代になっても「供給側」に居続けようという国家戦略です。
そうした中、エネルギー自給率が僅か13%の日本は何をするべきか、答えは自明です。より多様な自然エネルギーの開発と技術輸出で、エネルギー転換を図り、先進技術立国の地位を強化しなくてはなりません。
しかしながら、先般公開された第7次エネルギー基本計画案では、未だに石炭火力発電所の延命を画策しており、笑止千万と言わざるを得ずません。また納税者の一人としても到底、納得がいくものではなく、エネルギー転換で世界に劣後する前に、日本は自然エネルギーの開発と多様化(地熱・潮力発電などを含む)に邁進すべきと思います。
女性活躍社会への働き方の多様化、LGBTQの人々の認知と配慮、そして人工妊娠中絶の権利などは、それが人類全体の幸福や発展にとって理に適うから進んできたわけで、それを政争の具としたところで、大きな潮流は変わらないでしょう。人類は「より良い選択」を採り続けることで発展・進化してきました。この本質は誰がアメリカ大統領になろうと、変わりません。しかしそのためには主権者たるアメリカ国民一人ひとりが諦めず声を上げる必要があります。
●混迷の「昭和百年」をどう生きるか
2025年は日本にとって「昭和百年・戦後80年」という節目の年です。こうした混迷の時代に、日本はどのような社会像を描いて成長すべきか、政治家ならずとも、企業経営者にはビジョンが求められます。ビジネスをどう方向付けるべきか、以前にも増して多様な意見に傾聴するのが良いと思います。
世界に広がる日本のアニメーションやゲーム産業は、いずれも経済産業省や業界団体の関与がない中で自由に成長し、その後から、クールジャパンなどと銘打って国の政策の後追いが始まりました。官民一体となった振興は大切ですが、ニッチ市場で成長を遂げられたのは、無名クリエーター達がシナリオ創りで発揮した奥深い思考、登場キャラクターのユニークさ、画質の精緻さなどが卓抜していたからです。こうした「ソフトパワー」が日本の文化や価値観から創造され、世界市場を席巻したのは、モノづくりのハードウェア事業と共に、私たちの感性や、細部へのこだわりが生んだ結晶とも言えます。
政治経済の波に晒され、私たちのビジネスも煽られることは避けられません。
しかし、サステナビリティの本質、即ち:
- 気候変動に対する緩和策(温室効果ガスの排出削減)と適応策(作物の品種改良や建物の超断熱化)
- より少ない資源量でより大きな価値を生む工夫(省資源・資源循環)
- 人的資本経営(人の成長に積極投資し、長期で事業リターンを増やすための職場改革や働き方の多様性)
- 生物多様性の保全(水の涵養や森林の防災機能維持のために生き物の生息域を保全する)
などは、世界のどの事業者にとっても取り組みが求められる最重要テーマです。
またサプライチェーン全体でこうした取り組みに協力し合うには、各企業でサステナビリティのリーダーを育て、より遠い未来に向かって、高い視座で、広い地平線を俯瞰し、交流することが重要です。
昭和百年が皆様の事業にとって、大きな躍進の年となりますよう、心より祈念致しております。
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