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SDGs・サステナビリティ通信【フランスの取り組み】

いつも大変お世話になっております、日本ノハム協会の筒井です。

これから皆様に、SDGsやサステナビリティを巡る話題について、お話させて頂きたいと思います。

さて、SDGsは2021年から小学校でも授業の中に取り入れられ、中学受験の入試問題にも取り上げられるようになりました。

世界中の国々で企業や市民社会団体がSDGsに取り組むことで、かつて経験したことがない規模の運動になってきています。そんな中、日本のSDGsへの取り組みは世界で18位との評価がされています。

日本は全体としては豊かな国ですが、その中で格差が拡がっていたり、男女の平等や機会均等が進んでいないのが主な原因です。

それではSDGsに取り組んで上位にランクされている国はいったいどんな取り組みをしているのでしょうか?

今回は、多くの日本人が大好きな、芸術と美食の国、フランスについて最近の取り組みをご紹介したいと思います。

フランスのSDGsランキングは世界第8位 

フランスでは日本が遅れていると指摘される#5の「女性の活躍機会」は高評価ですし#13の「気候変動対策」も進んでいます。女性の活躍は企業の経営幹部や、国会議員への進出度などで評価されます。

女性の国会議員比率は世界全体では24.3%ですが、日本は未だ10.2%と世界平均の半分以下。これに対しフランスは1999年に男女平等を推進する「パリテ条項」を施行し、選挙では男女同数の候補者を立てなくてはいけないと法律で義務化しました。その結果、フランス議会の女性議員比率は39.7%(2019)にまで伸びたのです。 

今年は大統領選挙がありますが、各党の主な候補のうち2人は女性が選ばれています。 

地球温暖化対策でもフランスは先行しています。フランスでも自動車や鉄鋼は基幹産業ですが、すでに『炭素税』を導入し、2035年からはガソリンやディーゼル車は販売できなくして、CO2を出さない電気自動車への切り替えを強く促しています。

ファッションの世界でも大きな動きがありました。2022年1月から、売れ残りの衣類はゴミとして焼却や埋め立てが禁止され、寄付やリサイクルが義務付けられたのです。

美食の国なので、スーパーマーケットに並ぶ食材の多様さや、ワイン、チーズの種類の多さには驚かされますが、食品ロスに対しても積極的な削減施策を打ち始めています。

フランスのスーパーや食料品店では、賞味期限間近や期限が切れたばかりの商品に「アンチ・ガスピヤージュ(無駄防止)」と書かれた黄色いラベルを貼り、なんと表示価格の1/3程にまで値段を下げて売切ります。また「Too Good To Go」というアプリには24,075ものレストラン、パン屋、スーパーなどが加盟し、廃棄される予定の食品を可視化し、事前に予約すれば、信じられないほど安い値段で買うことができます。フランスは且つて植民地だったアフリカ諸国やアラブ諸国からの移民、東欧から職を求めてやってきた労働者など、所得が低い層も多く住んでいますが、こうした取り組みで食品ロスを減らし、格差社会の中で犯罪や社会不安に結びつかないよう調整しています。

フランスは自己主張の強い、個人主義の国とも言われています。パリは好きだけど、フランス人がいなければもっと良いなどと陰口をいう人もいるそうです。

しかしそれは、自分の意見を持ち、はっきり主張するという国民性に基づくものとも言えます。

日本人は空気を読むというか、予定調和を求めて根回しをしたり、同調圧をかけたりしますが、欧州、特にフランスではそうしたテクニックは通用しません。意見を戦わせてお互いの立場を理解して初めて一人前として認められます。

そんな自己主張を求めるかのように、抽選で選考された150人の市民から成る「気候変動市民評議会」という委員会が昨年2月に創られました。そして大議論の末にまとめた「環境政策提言」を政府が政策に取り込むという試みを行っています。まさに重大政策には国民が直接参加して政策を提言し、一部が法案に含まれるのです。

こうした動きを見ていると、いずれ日本でもこのような野心的な取り組みが影響すると予感できます。

メディアや世論の影響などで他社が動き出し、法制化されてから動き出すのでは取り残されてしまう恐れがあります。

それでは他にどんな動きを注意して行くべきか、幾つか特徴的なものをご紹介してこの章を終わりたいと思います

  • CO2排出量を製品やサービスに表示する制度「CO2スコア」を2024年までに導入
  • 化石燃料を利用した商品やサービスの広告は禁止
  • 2025年から食材の50%を「持続可能なもの」に限定し、うち20%は有機生産とする
  • スーパーの量り売り販売の面積を2030年以降、全体の20%以上とする
  • 列車で2時間半以内で移動が可能な短距離区間での航空路線の運航を禁止
  • 国内航空便全てに2024年から100%のカーボン・オフセットを義務付け
  • 2024年末までに人口150万人以上の都市に「ゼロ排出ゾーン(ZFE)」と呼ばれる交通制限区を導入
  • 熱効率が悪い低断熱住宅は賃貸料の引き上げを禁止、2028年からは賃貸そのものを禁止。
  • 環境破壊行為は犯罪として、最長10年の禁錮刑、最高450万ユーロ(約6億円)の罰金を科す

いやはや、凄いことになってきましたね。

世界は持続可能な社会に向けて大きく変わろうとしています。

正しい選択は何か、じっくり目を凝らして考えてゆきましょう!

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